エキセントリック花嫁

少し変わった妻と少し変わった夫

ちょっと一回死んできた

お久しぶりん。

今さらではあるが、ハネムーンに行ってきた。行く前と行った後とでは、ハネムーンの意味合いが違うように捉えられた。前者はキャッキャウフフ、後者は、これから夫婦となる二人が病めるときも健やかなるときもお互いに支え合う練習、である。


もちろん楽しかった。特に私にとって初の海外だったので、手続きの煩雑さをぶん投げるくらいの感動があった。


しかしいかんせん、腹が痛かったのだ。いや、笑いごとではない。おかげで私は気分も機嫌も悪くなり、大喧嘩をしてしまった。夫はまた心に深い傷を負ってしまった。すまん。


いわゆる水あたりというやつだと思う。旅の途中で離島に行った途端腹を下した。今までに経験したことのない腹の下し方だった。おまけにいつもとは違う避妊薬のおかげで吐き気もあった。気分は最悪だった。


それでも、全てのオプショナルツアーに参加することができた。青い空の下、青い海を見ながらのサイクリングは最高だった。私が貧乏性であったのと、腹痛に波があったのがせめてもの救いだ。でなければ、せっかくのハネムーンで一日中寝ているところだった。


海外という心許ない場所で体調を崩すというのはとても恐ろしいことだった。しかし、そのおかげでたくさんの人の優しさに触れることができた。言葉は通じなくても、心は通じ合えるのだと感じた。


そして特に、夫には感謝してもしきれない。夫がいなければ、私は今頃無惨な姿でのたれ死んでいるかもしれない。彼は最高潮に機嫌の悪い私の八つ当たりを受けながらもスメクタというアルテマウェポンを手に入れてくれたのだ。いくら英語ができるといっても妻に罵られながら見たこともない薬を英語圏外で購入することは容易ではなかっただろう。腹が治ってから、彼は私の中で勇者になった。


病は気からというが、本当に病と気は繋がっているのだろう。未知の不安が私を押しつぶし、ついには爆発してしまった。多分、常用している薬があまり吸収されず、外に流れていっていたのだと思うが。


まだまだ修行が足りないと思わされた一件であった。そしてこれから、夫を大事にしなければならないとも思った。確かに夫にも足りない所はあるが、それは私も同じである。そこをお互いに補いあっていくのが夫婦。人生というダンジョンを共に進むパートナーなのである。


これからパーティの人数も増え、それぞれの役割にも変化があるだろう。変化を恐れず、流れに身を任せるのだ。なるようにしかならないことは、なるようにしかならない。腹を壊している時は、下すしかないのだ。


しかし結局治ったではないか。ガイドの言う通り、薬を飲んでから一度も下していない。お目当のマックにも行けた。何より、何ものにも代えがたい素晴らしい景色をこの目で見ることができた。自分の選択を、意思を全うできるのだと知った。


これから彼と生きるのが、少し楽しみになった。腹は下しても、心は下さないように。素直に助けてという気持ちが、大事なのじゃ。