ねぇ、くるみ

猫と犬が好きです

子どものころ〜

私は男の子みたいな女の子だった。

周りの子より成長が早く、背が高かったり足が速かったりした。

幼稚園の頃からませていて、自分から好きな男の子にキスをしたりしていた。キリスト教系の幼稚園だったけど、毎日楽しかった。

一度だけ、休み時間にみんなでかけっこをして遊んでいた時に、年少さんの子が転けたのを自分のせいにされたことがあった。でも嫌な思い出はそれくらいだ。

小学校に上がる時に親の転勤で引っ越しをした。今までの子たちと別れる寂しさより、新しい所へ行くわくわく感の方が勝っていた。

新しい小学校では、幼稚園の頃からの知り合いで大体グループができており、私はひとりぼっちで帰ってきていたらしい。それを見かねた兄が、毎日一緒に下校してくれていた。

私は覚えていないけど、兄の方がいじめを受けたりして大変だったらしい。子どもにとって、学校や団地というのは世界そのものだ。そこで馴染めなかったら絶望してしまう。本当は、そんなことないのだけど。

最初は大人しかった私も、徐々におちゃらけていくようになる。いつだったか、お姫様役?か何かを決めている時に、黒板の前で、自分がお姫様に適任でしょ?(笑)みたいなことを言ったらウケたのだ。それに味をしめて面白いことを言うキャラになっていった。

周りの女子は大人しい子ばかりだったから、なんでみんな自分の意見を言わないのだろうと思っていた。私はまだ身体も大きかったから、色んな遊びに参加しては勝っていて、私がグループに入ると大抵私の意見になっていた。

ある日、私がグループに入ると全部私の言う通りになるから嫌だと言われた。衝撃だった。私は抑えつけたり強制した覚えは無かったからだ。でも、結果的にそうなってしまっていたらしい。その日から、他人の顔色を伺ってから意見を言うようになった。

5年生の時、転校生が来た。最初は大人しかったけど、都会から来たその子はすぐにリーダーになった。私は男勝りだったので、男子と仲が良く、その子の好きな子とも仲良くしていた。それが原因で、女子から無視をされるようになった。

救いだったのは、スクールカースト下位の子たちは、その無視に参加していなかったことだ。今まで全然遊んでいなかったのに、急に来た私を受け入れて遊んでくれた。優しい子たちだった。だから、私は卒業するまで、完全な孤独を味わうことなく過ごすことができた。彼女たちはもうとっくに忘れているだろうけど、私はとても嬉しかった。

私を無視していたリーダー格の子は、家に問題があった。仲がいい頃は、私が新しいお父さんを退治すると意気込んだものだ。小さい弟をいつも遊びに連れて来ていた。彼女も彼女で、辛い思いをしていたのだろう。

中学に上がると、部活で親友ができた。ヤンキーばかりの中学校だったけど、今思えば根っから悪い子はいなかったように思う。みんな、格好は悪いけど、運動会や合唱コンクールに熱を上げるヤンキーだった。

私の親友はヤンキーとは正反対の優等生だった。小学校から頭が良く、有名な進学塾に通っていた。私は、彼女の「お互いに切磋琢磨して頑張ろうね」という言葉を信じて勉強や部活を頑張った。私が部活でキャプテンになり、成績で一番をとると、彼女は口を聞いてくれなくなった。私は何故なのか分からなかった。よく覚えていないが、後から聞いた話では、私は努力をしているように見えないらしい。なんじゃそりゃ。この頃から、「誰かと何かを競う」というのが苦手になってきた。関係が崩れるくらいなら、私が負けるよ。

高校は一番楽しかった。今でも交友があるのは高校の友だちがほとんどだ。男子も女子も落ち着いていて、根っから意地悪な子はひとりもいなかった。私にとってとても居心地の良い空間。一度だけ、親友とケンカして気まずい思いをしたことがあったけど、それ以外に嫌な思い出は思いつかない。ちなみに、高校の親友とは今でも親友だよ。

大学に行くと、二人の友だちができた。二人は同じ高校で元々友だち同士。そこに私が入った。色んな馬鹿をやって楽しかったけど、別れた後、ふう、とため息をつくことがあった。私なりに無理をしていたのかもしれない。3年生の時、彼氏ができた。だんだん彼女たちと過ごしていた時間が減っていった。ある日、二人から無視をされるようになった。元々「三人」という数字に無理があったのかもしれない。大学後半は、ほとんど彼氏と過ごした。